
GRIB2:その特徴と活用事例
GRIB2とは
GRIB2(GRIdded Binary Version 2)は、世界気象機関(WMO)が策定した、気象データを効率的に格納・配信するための国際標準フォーマットです。
格子(グリッド)状に配置された気象データを扱うことを目的として設計されており、気象庁をはじめ、世界中の気象機関が数値予報データ(モデル予測値)や解析値の提供に利用しています。
GRIB2の特徴
● 高圧縮・高速処理
気象データは膨大ですが、GRIB2はデータ構造の最適化と圧縮により、
ファイルサイズが小さく、読み書きや伝送が高速です。
● 柔軟なセクション構造
GRIB2ファイルは複数の「セクション」で構成されており、以下のような情報が厳密に定義されています。
- 気象要素の種類(例:気温、降水量、風、気圧)
- 対象領域・格子点配置
- 時刻・予測時間(初期時刻、予報時間など)
- 座標系、解像度、鉛直レベル
これにより、多様な気象データを1つのフォーマットで柔軟かつ統一的に表現できます。
● WMO標準で広く対応
国際標準のため、多くの解析ツール・ライブラリが対応しています。
📌【ツール・ライブラリの例】
・wgrib2
・ecCodes(ECMWF)
・pygrib / cfgrib(Python)
これらを利用して、GRIB2の読み取り・変換・可視化が容易に行えます。
弊社でのGRIB2の活用事例
弊社ではGRIB2形式で提供される解析雨量データを活用した研究を行いました。
解析雨量とは、気象庁および国土交通省が保有する降水レーダー観測データと、気象庁、国土交通省、ならびに地方自治体が観測する雨量計データを用いて、約1km四方のメッシュ単位で解析された1時間降水量のことです。
データの時間間隔は30分で、毎時00分および30分を基準とし、それぞれの時刻までの直前1時間降水量が、個別のデータファイルとして収録されています。
GRIB2形式の気象情報は、気象予報機関が作成したデータを気象情報利用者へ配信する形で提供されています。
弊社の事例では、気象情報配信事業者を通じて気象情報を受信し、システム内で活用する構成を採用しています。
本研究では、その中でも以下の2種類のGPVデータを使用しました。
- 1kmメッシュ解析雨量GPV
- 1kmメッシュ降水短時間予報GPV
解析雨量GPVはレーダー観測や雨量計データをもとに作成された「過去〜現在」の降水量データ(解析値)です。
一方、降水短時間予報GPVは数値予報モデルを用いて算出された「将来」の降水量予測データ(予測値)です。
これらを組み合わせることで、現在の降雨状況の把握と将来の降雨傾向の分析を同時に行うことが可能となります。
解析雨量は、実測データと解析・補正処理を組み合わせて作成されており、降水の空間分布や降水量を高精度に把握するための基礎データとして広く利用されています。
GRIB2形式のデータはそのままでは可読性が低いため、解析処理を行い画像として可視化することで、降雨の空間分布を直感的に把握できるようになります。
実際に解析雨量データを画像化した例が以下となります。

解析雨量データを画像化した例
まとめ
GRIB2を利用することで、特定地点付近の降雨状況や将来の降雨傾向を把握することは可能ですが、そのままでは高精度な“地点予報”としては不十分な場合があります。
GRIB2の「解析値」や「予測値」は、格子(グリッド)単位の代表値であり、任意の緯度経度1点を直接観測したデータではありません。
そのため、特に以下のような条件ではグリッド値と実際の降雨量が一致しないことが多くなります。
- 山間部、谷地形、沿岸部などの地形影響が大きい場所
- ごく局地的な強雨(いわゆるゲリラ豪雨)が発生する場合
つまり、GRIB2は広域的な気象傾向を把握するために有用なデータであり、
1地点の実雨量を直接的に置き換えるものではありません。
これらの課題を補うため、AMeDASなどの地点観測データを併用したり、地形・標高・地表面情報を用いた補正を行うことで、予測精度の向上が可能です。
さらに、GRIB2の降水予測データと地点観測データをAIに学習させることで、メッシュ予測を地点予測へ変換・補正したり、格子点気象データを実運用や意思決定に直結する情報へ変換することも可能です。

GRIB2やその他気象情報とAIを組み合わせた活用例
気象庁や民間気象事業者からは、多様な気象情報が配信されています。
今回ご紹介したGRIB2形式のデータも、その活用例の一つです。
気象情報は、マーケティングへの活用やシステムの自動制御など、さまざまな分野で新たな価値を生み出す可能性を持っています。
当社では、Webサービスやスマートフォン向けアプリケーションから、機械制御を含む各種システム開発まで、幅広くご提案可能です。
気象情報の活用をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
❗❗注意点❗❗
気象現象の予測・予報は、日本の気象業務法により規制されており、予報業務は許可を受けた事業者のみが実施可能です。
そのため、GRIB2データの加工・提供・利用形態によっては、法令上の制約を受ける可能性があるため、サービス設計時には十分な注意が必要です。